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ゼロからトースターを作ってみた結果

製作期間9ヶ月、製作費約15万円のトースター

現代のテクノロジーに頼らずに、原料集めからスタートしてゼロからトースターを作れるか!?
鉄鉱石を溶かして鉄を作り出し、じゃがいもからプラスチックを作ろうとしては失敗し、苦戦しながらも何故かいつも楽観的な著者。
ゼロからトースターを作りたい人は必読のおもしろドキュメンタリー!

制作当時、著者はロンドンに住みデザインを学ぶ大学院生
持ち前の前向きさと溢れ出さんばかりの行動力でトースターを作るという意味のわからないことに全力を注ぐ姿には最後まで目を離せません!

 

トースタープロジェクト

この本では以下の3つのルールに則って(けっこう破る)、トースターを作っていく話です。
1.作るトースターは店で売ってるようなものでなければならない。
2.トースターの部品はすべて地球が産出する原料から作らなくてはいけない。
3.産業革命以前の技術を使って自分でトースターを作る。
まずトースターを作るにはトースターが何であるかを定義しなくてはいけないという話が始まります。

トースターの部品を素材で5つに分類し、基本的には原料採取→精製→加工といった流れで話は進んでいくのですが…どれ一つとして一筋縄ではいかない!

 

移動距離にして3060 km

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図1 トースター原料マップ

上図はトースターの原料を集めに著者が巡った場所の一覧です。
原料集めについてもどこへ採りに行くか?から始まり、目的地についても求めるものは簡単には手に入らなかったりとかなり苦戦している様子が描かれています。

例えば1つ目の鉄を手に入れるまでの流れは、
鉱山に行ってみる
→すでに稼働してなく観光スポットになっている(クリスマスデコレーションされていた)
→鉱業所の男性が数年前に採った鉄鉱石を分けてもらう
→庭で自作の溶鉱炉を使って精錬するも大失敗
→電子レンジを使った精錬法にたどり着く(ルール3を早速破る)
→が失敗
→試行錯誤の末ようやく鉄をget!!
といったようにプロセス一つとっても一つとしてすんなりとうまくいくものがないので、そこをどう乗り越えるかといった部分は見習うものがあります。
また失敗についても原因考察がなされていて勉強になります。

ちなみにルールの捻じ曲げはちょこちょこ行っていて、著者が自分を納得させるための言い訳が面白いのも本書の魅力の一つです。

 

自分の力で作ってみる

以上のように内容は非常に面白おかしいものでありながらも勉強になる点も多い本です。
最終的にトースターは出来上がったのかという点については本書をご覧ください。
はたして表紙を飾る怪しげな物体は一体何なのか!!

現代ではいろんな物に囲まれて生活しており、技術が高度すぎてブラックボックス化しているものも多いのですが、それら一つ一つにどういった技術・材料使われていて、どんな歴史があるのか目を向けて見るきっかけにもなる一冊です。